親の反対は止まらない

佳織さんが結婚相談所に入会したと知った親御さんは、黙ってそのままにしておくはずがありません。自分たちの希望する仕事に就かなかったことにも怒っていますが、それに拍車をかけた形に。まず「考えがおかしくなった」として佳織さんは病院に連れていかれたそうです。入院をして検査をしたのですが、佳織さんは自分のしたいことをしただけ。一般的に考えても、決しておかしな考えではありません。

そしてその後、強制的にお見合いをさせられたこともありました。親御さんは結婚相談所が紹介する相手ではなく、自分たちが見つけて娘に最適と思う人と結婚させたいと考えたからです。もちろん、結婚すれば夜のお仕事を辞めるでしょうし、以前のような娘に戻るという考えもあったようです。

でも佳織さんは親御さんがセッティングしたお見合いはできませんでした。前日から蕁麻疹(じんましん)が出たり、吐き気に襲われたり、体調を崩してしまうほどの拒否反応が出たからです。

ずっと親が敷いたレールの上を歩いてきた佳織さんは、そこに自分の意思がないことに気づきました。希望する職業に就き、そして結婚相手も自分で見つける。そう考えても、結局親の邪魔が入ってしまいますから、今は親御さんとは一切連絡を取らずに過ごしています。

佳織さんはその後も結婚相談所でお見合いをしていますが、「過去を引きずっていて、彼女の心の闇を受け止められない」、また「彼女は、本当は一人で生きる人だと思う」と相手の男性から断られることが続きました。

そして彼女と何度か話し合いをした結果、「やはりもう少し一人で生きてみる。思い切り好きなことして生きてみる」と。「また結婚が必要だと思ったら入会しますね」と退会しました。彼女の場合は成婚に至らなかったのですが、このような結末もあります。私たちカウンセラーは、彼女に幸せになってほしいと心から願っています。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。