改正は2028年4月、経過措置がある

配偶者加給年金は65歳で老齢厚生年金を受給できるようになった当時、生計を維持されていた65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます。配偶者加給年金が年間40万円から年間36万円へと1割減となる年金制度改正が施行されることになります。隆二さんが改正後の制度の対象になると、年間4万円程度、15年では60万円少なくなる計算で、その影響は大きいものとなるでしょう。

しかし、この配偶者加給年金の縮小は2028年4月施行となっています。この改正後の制度の対象となるのは、2028年4月以降に配偶者加給年金が加算され始める場合となり、そうした人が年間で40万円ではなく、1割減の36万円での加算となります。

隆二さんが65歳になるのは2026年で、改正前からその加算が始まることになります。その場合、改正後の1割減の対象とならず、経過措置によって現行制度が適用されることになります。つまり、改正前の期間(2028年3月以前)はもちろん、改正後の期間(2028年4月以降)についても引き続き年間40万円が加算されることになります。そのため、隆二さんは15年間で600万円の加算が見込めることになります。

改正の施行日や経過措置に注意

隆二さんは「よかった、このまま今の加算額で加算されるなら安心だ。2028年4月から急に加算が1割減っても困ることになるし、助かる」と安堵します。そして、加給年金のことを含めた65歳以降の年金全般についても確認でき、これからの年金生活に備えられそうでした。

2025年6月に成立した年金制度改正法で、改正内容によって施行日が異なり、今回の配偶者加給年金のように施行日がまだ先のものもあります。改正が施行されるにあたって、現行制度の適用を受けている人には不利にならないように経過措置も設けられていますので、自身に関係しそうなものがあって気になる場合は年金事務所で一度確認してみると良いでしょう。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。