妻の正論に家族は茫然自失の状態
妻の突然の“参戦”に、父や妹は茫然自失の状態でした。しかし、妻の主張があまりに正論過ぎて、さすがの父も返す言葉がなかったようです。
妹が「確かにこの家一軒引き継いでも、私ひとりじゃ持て余しそうだしね。お父さんはまだまだ元気なんだし、時間をかけてもう少し考えた方がいいんじゃないの?」としれっと言うと、父は「う~ん」と口籠ってしまいました。
父の提案は、母に先立たれた今、自分の介護が発生した時の“保険”として妹に恩を売っておく意味合いも強かったように思います。そこでうまく話がまとまりかけた時に、予期せぬ方向から横やりが入ったのですから、さぞやがっくりきたことでしょう。
とはいえ、それ以上話を続ける雰囲気ではなく、父の提案はうやむやになり、それから1時間もしないうちに、私たちは「飛行機の時間だから」と言って慌ただしく実家を後にしたのでした。
あれから半月、父や妹からは何の音沙汰もありません。
「言ってはいけないことを言っちゃったかな」としゅんとする妻を、私は、「いや、母さんが生きていたら、きっと同じことを言ってくれたと思う」と慰めています。
むしろ、心の中では妻に大感謝です。あのままいったら、母のことで妹に負い目を感じている私は、絶対にワンサイドの相続案を受け入れていたはずですから。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。