本当は医師になりたかったわけではない
後日、美智子さんのカウンセリングをしたのですが、私どもが驚いたことがあります。実は美智子さんは、医師になりたかったわけではなかったのです。
美智子さんの夢は専業主婦でした。
ところが、幼いころから成績が優秀で、母親から医学部進学を強く勧められました。医師になるのは、美智子さん自身の意思ではなく、あくまで母親の希望。美智子さんは、医師になれたことに後悔はありませんが、「専業主婦になりたかった」という思いは今も心の奥に残っています。家事をするのが好きですし、結婚して子どもを産み、学校から帰る子どもたちを家で迎える母親が、美智子さんの理想像だったからです。まさしく自身の母親のような人生に憧れていたのです。
「どのような結婚相手を望みますか?」とお聞きすると、決まって女性は「尊敬できる人」と答えます。この言葉はなかなか解釈が難しいのですが、多くの場合で、自分より年収の高い人という意味しています。
これが高学歴女性の結婚が難しくなる理由でしょう。医師の年収を上回る男性となると、相手はどうしても限られてしまいます。美智子さんは結婚相手に自分以上の年収は求めていなかったのですが、母親はそう思ってはいませんでした。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
●高学歴女性ならではの悩みを抱える美智子さん。母と娘が共に納得するパートナーは現れるのでしょうか。後編【「これが私の本当の幸せかもしれない」母に従ってきた40歳女医が“望んだ相手”とは】にて詳しく紹介します。