連絡なしで20万円を振り込む驚きの対応

しかし、母にこのことを打ち明けるのは気が引けました。やむを得ず、弟に電話をして若林さんの電話の件や事情を説明し、どういうことなのか義妹に確認してほしいと頼みました。

めったに連絡しない私からの電話に、弟もさぞや驚いたことでしょう。しかも、弟は状況を全く把握しておらず、母から義妹に大量の米が届くのは東京の米不足を気遣った母が勝手に送り付けているものと考えていたようです。「この時期、米は貴重品だから、取引先とかに配るとすごく喜ばれると言ってたよ」という能天気なリアクションには、こちらが拍子抜けしました。

とはいえ、私の方は義妹が母に送らせた米を営業ツールに使っていたのかと思うと余計に腹が立ちました。「お母さんには何も伝えていないから、お前の方からお母さんに謝ったりしないでね」と釘を刺して電話を切りました。

驚いたのは、その後の義妹の対応です。私の個人口座にいきなり20万円を振り込んできたのです(弟は最近下の息子の入学祝いを送金してくれたりしていたので、口座番号を知っていたのです)。米代や送料を払ったつもりなのかもしれませんが、相変わらず電話一本、メール一本ないので、何を考えているのか分かりません。

弟に「どういうつもり? こんなお金、受け取れないよ」とメールをしたら、「彼女なりのおわびなんだから、もらってあげてよ。宝くじが当たったことにして、父さんと母さんを温泉旅行にでも行かせてあげればいいじゃん」というしょうもない答えが返ってきました。

義妹も義妹なら弟も弟だと呆れました。結果的には、それで矛を収めたというか、うやむやになってしまった感じです。さすがに義妹から母への追加の“お願い”はないようです。

数日前、例の若林さんからメールをいただきました。米が無事に到着し代金を送金したという報告に加えて、「不躾なお願いにもかかわらずすぐに対応していただき、ありがとうございました。よろしければ今後も定期的に購入させてください」と綴られていました。

そこに、「ネットに麗奈さんの記事が出ていたので共有しますね」と義妹のインタビュー記事のURLが添付されていました。ビジネス関連のウェブサイトに「女性リーダーの仕事術」として掲載された記事で、義妹は「コミュニケーション力が非常に重要です」と話していました。

正直、驚きを通り越して笑い出しそうになりました。「コミュ障のあなたにコミュニケーションを語る資格があるの?」と思いましたが、若林さんには「麗奈さんってすごいんですね!」と返信しておきました。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。