障害年金申請のカギとなる7つの項目
金額を確認した後、母親は言いました。
「月に約7万4000円にもなるのですね。無収入の長女にとってはありがたい金額です。それで、長女は障害基礎年金がもらえそうでしょうか」
「障害基礎年金が受給できるくらい症状が重いかどうかは、主に医師の作成する診断書とご本人または代理人が作成する病歴・就労状況等申立書の記載内容で判断されます。その中でも特に診断書は重要です。そのため、医師に診断書をお願いする前に、ご長女さまの日常生活の困難さをまとめた参考文書を作成しておくとよいでしょう。日常生活の困難さとは、診断書にある7つの項目のことを指します」
①適切な食事
②身辺の清潔保持
③金銭管理と買い物
④通院と服薬
⑤他人との意思伝達及び対人関係
⑥身辺の安全保持及び危機対応
⑦社会性
「何だか難しそうですね……。一体、何をどうまとめればよいのでしょうか?」
「この役立たず」幻聴に苦しむ日々の実態
母親は不安な表情を浮かべたので、筆者は母親から友恵さんの日常生活の様子を少しだけ聞いてみることにしました。
友恵さんは現在も服薬を継続していますが、幻聴は一向に収まる気配がないとのこと。特に起床したばかりの時が一番ひどく「この役立たず。お前の人生には意味がない」「働きたい? お前なんかが働いたってうまくいくはずがないだろう」といったような幻聴がすぐに始まってしまうそうです。症状がひどい時は、薬を飲んで一日中横になって休むこともあります。そのため、食事の準備、服薬管理、掃除、洗濯、買い物はすべて母親に頼っています。入浴は週に2回程度。着替えはおっくうな気持ちが勝ってしまい、毎日着替えることはできていません。
また、物忘れがひどく、母親に「今日は何曜日だっけ?」「もう薬は飲んだっけ?」といったことを何度も何度も確認してしまいます。
さらに「相手の言っていることが理解しづらく、聞いてもすぐに忘れてしまう」「幻聴が続いており物事に集中することが難しい」とのこと。
長年治療をせずに放置してしまったためか、友恵さんの病状は非常に悪化してしまい、その病状が固定化しているようにも思えます。
以上のことから、日常生活に大きな支障が出ているだけでなく、就労も非常に困難な状態にあることがうかがえました。