中学の不登校からひきこもり生活開始、支援の手を振り払い続ける
友恵さんは中学生2年生の頃、親友と仲違いをしたことをきっかけに不登校になってしまいました。不登校が長引き、学業から遠ざかってしまった友恵さんは高校に進学することはなく、そのままひきこもりの生活を送るようになりました。
当時、父親は仕事で忙しく「いつまでこんな生活を続けるつもりなんだ」と苦言を呈することはあっても、友恵さんのケアをすることは一切ありませんでした。
心配した母親は、友恵さんに通信制の高校に進学するよう促しましたが、かたくなに拒否されてしまったそうです。また、母親と一緒に心療内科や精神科に行くことを提案してみましたがそれも拒否。次第に母子の会話も減っていき、何も進展がないまま月日は流れていきました。
友恵さんが20代になっても、ひきこもりの状態に変化はありませんでした。
「何か解決の糸口が欲しい」
母親は藁にもすがる思いで、ひきこもり訪問支援の相談をすることにしました。
ただし、訪問支援を受けるためには友恵さん本人の同意が必要になります。
母親が訪問支援の話を友恵さんに伝えたところ、友恵さんからは何の反応もなく、反対もされませんでした。明確な反対はなかったため、母親は支援者に訪問支援をしてもらうようお願いをしました。
しばらくした後、支援者が自宅にやってきました。しかし友恵さんは自室にこもったまま顔を見せようとしません。
支援者はドア越しに「友恵さんの将来について話し合いたい」と伝えてみました。
すると友恵さんは「あなたとは会いたくありません。帰ってください」と言うだけで、やはり部屋から出てこようとはしませんでした。
友恵さんに会えなかった支援者は本人に向けて手紙を書きましたが、友恵さんは手紙を読むことはしなかったそうです。
その後、数回にわたり支援者は自宅を訪問してくれましたが、友恵さんと会うことはできませんでした。
「何の進展もなく、このままでは支援者に迷惑をかけてしまうだけだ」
あまりの申し訳なさから、母親は訪問支援を断ってしまいました。