意外と知られていない、姻族でも受け取れる未支給年金

弘子さんにとっての配偶者(幸司さんの父)も、唯一の子の幸司さんも弘子さんより先に他界しています。また、亡くなった当時、弘子さんの父母、孫、祖父母、兄弟姉妹もいません。そして、残る3親等内の親族(血族または姻族)についてですが、実和さんは弘子さんの子の幸司さんの妻で、幸司さんの死後に姻族関係の終了(いわゆる「死後離婚」)もしていなかったことから、そのまま1親等の姻族となり、3親等内の親族に該当します。

先述の①~⑦の遺族のうち最も優先順位が低い⑦ですが、実和さんと弘子さんは同居もしていて生計が同じであったため、実和さんが未支給年金を受け取ることができます。

「私が夫の母の年金を受け取れるなんて知らなかったな」と、年金事務所で2カ月分の未支給年金の請求をした実和さん。弘子さんが生前、自身の老齢年金だけでなく、弘子さんの夫の死亡による遺族年金も受け取っていたことから、その両方の年金が未支給年金となり、2カ月分として合計40万円ほど支給されることになりました。

弘子さんも失い、すっかり寂しくなりましたが、実和さんはこれまでの思い出を大切にしながら、これから1人で迎える老後の生活を考えなければいけないと思うようになりました。

未支給年金が請求できる遺族のうち、⑦の3親等内の親族は2014年4月から対象に加わっています。今回のような亡くなった人の子の配偶者が請求するケースのほか、亡くなった人の甥や姪が請求するケースなどが出てくることになりました。亡くなった人が独身で、配偶者や子といった近い親族がいないこともあります。親族が亡くなり、未支給年金の請求ができそうな場合は忘れずに請求をしましょう。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。