<前編のあらすじ>
実和さん(60歳)は、夫の幸司さんと義母の弘子さん(いずれも仮名)との3人暮らしを送っていました。子供のいない実和さんと幸司さんでしたが、実和さんは弘子さんを実の母のように慕い、温かな家庭を築いていました。
しかし2023年12月、幸司さんが64歳で他界。身寄りの少なかった実和さんと弘子さんは互いを支え合って暮らしていきます。弘子さんは「今まで妹も両親も夫も亡くしてきたけど、息子まで私より先に他界するなんて……私の家族は実和さんだけになっちゃったなぁ」と寂しさを募らせていました。
そして2025年3月、今度は弘子さんが92歳で他界。大切な家族を立て続けに失った実和さんは深い悲しみに包まれながら、年金受給者だった義母の死後手続きに向き合います。
●前編:【“実の母”のように慕っていた92歳義母が他界、60代女性が年金手続きで直面した「予想外の展開」】
知っておきたい年金支給の仕組みと未支給年金
弘子さんは亡くなった時は92歳、亡くなった時まで年金を受給していました。年金を受給していた人が亡くなると、その生計を同じくする一定の遺族には未支給年金が支給されることになり、実和さんがその対象になることを案内されました。この未支給年金とは何でしょうか。
そもそも年金は2カ月に1回、偶数月の15日に2カ月分ずつ後払いで支給されるのが原則となっています。4月分・5月分は6月15日に、6月分・7月分は8月15日に、8月分・9月分は10月15日に、10月分・11月分は12月15日に、12月分・1月分は2月15日に、2月分・3月分は4月15日に振込がされることになります。15日が土日祝日の場合はその直前の金融機関の営業日に振込がされます。
年金は亡くなった月の分まで支給されることになります。しかし、後払いで支給されるため、本人が受け取れない年金が発生します。そして、その未支給となった年金を一定の遺族が請求できることになります。
弘子さんの場合は2025年3月に亡くなり、2025年3月分の年金まで発生します。2024年12月分・2025年1月分は2025年2月14日(※2月15日は土曜日のため)に弘子さん自身が受け取っていますが、2025年2月分・3月分の年金については2025年4月15日時点で既に亡くなって受け取れないため、この2カ月分の年金が未支給年金となります。
その未支給年金の請求ができる一定の遺族とは、死亡当時の①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦①~⑥以外の3親等内の親族となります。優先順位があり、①②③④⑤⑥⑦の順となります。