友人とのアフタヌーンティーで
「にしても、ほんと素敵な結婚式だったわよね。私、出しゃばって二次会のビンゴでルンバなんか当てちゃって。もうやあねぇ」
と肩を叩かれて、かすみは我に返った。
向かいのソファには学生時代からの友人で、お互い社会に出て結婚してからも家族ぐるみで付き合いを続けている莉子の姿がある。かすみは銀座のカフェでアフターヌーンティーを楽しんでいる最中だった。
「うちのも唯菜ちゃん見習って早く結婚してくれたらいいんだけど。なんか、韓国だか中国だかのアイドルの追っかけしてばっかりで。やになっちゃうわ」
「華帆ちゃんならその気になったらすぐでしょう。おしゃれだし、しっかりしてるし」
「しっかりしすぎなのよ、華帆は。男女平等だとかなんとか言ってるけど、男って結局、ふたを開けてみれば、一歩下がって自分を立ててくれるような慎ましい女が好きなんだから」
たしかに、と思いつつ、かすみはレモンティーで唇を湿らせる。長方形の板のようなお皿の上に等間隔で並ぶ3つの小さなスイーツの右側をフォークですくって口に運ぶ。クリームの繊細な甘さとベリー系の豊かな酸味が口のなかでとける。
「それで、これからどうするの?」
「これからって?」
「これからはこれからよ。ひとり娘が結婚して、いったんは肩の荷が下りたところでしょう? 旦那のこともずっと我慢してきたんだし、身の振り方? どうするのかなって」
莉子のストレートな言葉に胸を押し込まれたらしく、かすみの口からは「あぁ」と気のない相槌が漏れる。