<前編のあらすじ>
内海浩子さん(仮名)は15歳年上の恵子さんとカリグラフィー教室で出会いました。恵子さんは経営者の夫を亡くした後、広い邸宅に一人暮らしをしていました。心の支えとなったのは、ペットの猫やカトリック教会でのチャリティ活動です。
最初に飼った猫を亡くして2匹目の猫を迎えた時、75歳の恵子さんは、将来を案じて万一の時の引き取り先を確保するペット信託の契約をします。さらに、死後、財産を紛争地域や病気の子供たちを支援する慈善団体に寄付する手続きも進めました。
●前編:【親族は怒り心頭…「しっかり準備しておかないと」75歳・孤独な資産家女性がやり遂げた“愛猫ファースト”の終活】
生活に欠かせないものとなった猫との生活
20年ほど前に通い始めたカリグラフィー教室で、15歳年上の恵子さんと出会いました。恵子さんは会社経営者だったご主人を亡くし、幾つもお部屋のある立派な邸宅で一人暮らしをしていました。会社を引き継いだ息子さん一家や、東京に嫁いだ娘さん一家とは疎遠なようでした。
知り合って1年後、恵子さんは突然、猫を飼い始めました。メスのアメリカンショートヘアのアンです。大型ショッピングセンターに入っているペットショップで売れ残っているのがかわいそうで衝動買いをしてしまったという話でした。
生まれて初めて猫を飼ったという恵子さんでしたが、すぐにお世話にも慣れ、むしろ、ちょっとツンデレで賢いアンの存在は恵子さんの生活に欠かせないものとなっていったようでした。
そのアンが14歳で天寿を全うした後、75歳になっていた恵子さんはご自分の年齢的な問題もあって次の子をどうするか逡巡していましたが、意を決し、アンによく似たメスのアメリカンショートヘア、ダイアナを迎えました。
そして、ダイアナにアンに対するのと同様の愛情を注ぐ一方で、万一の時のダイアナの引き取り先を決め、その後の飼育費用を準備しておくペット信託の契約をしたのです。
その際の窓口になったのが、行政書士の熊倉さんでした。