2023年の所得基準をクリアして2024年10月分から支給対象に
この所得基準を満たすかどうかの判定にあたって、非課税となる遺族年金は除外されることになります。2年前の2022年の段階では、遺族年金は除いたとしても、老齢年金の収入の他に給与所得があったことから、先述の所得基準ををオーバーしていました。そのため、真理子さんは給付金の受給に必要な所得要件を満たしていませんでした。しかし、退職して給与がなくなった2023年の段階では、老齢年金75万円のみとなります。
真理子さんは、2023年は老齢年金75万円だけの収入で、①の所得基準はクリアしていることになります。また、真理子さんの市町村民税についても非課税世帯となり、②も満たしていました。
①について前年である2023年の所得基準を満たしたことにより、老齢年金生活者支援給付金は2024年10月分からが支給対象となります。そのため、給付金の案内は2024年9月になって届いたことになります。
給付金が支給されるかは毎年判定される
給付金について理解した真理子さんはすぐさま年金生活者支援給付金の請求書を提出し、実際に2024年10月分から支給されるようになりました。「月数千円でも、給付金があるのとないのとでは随分と違う」と安堵するのでした。
年金生活者支援給付金は2023年の所得基準により、2024年10月分から2025年9月分までの1年間が支給されますが、毎年所得要件を満たすか判定されて10月分から翌年9月分までが支給されるかが決まります。
真理子さんは2024年も年金収入のみでした。そのため、2025年10月分から2026年9月分までの1年分が支給される予定です。つまり、今の年金収入のみの生活が続くようなら、今後もずっと支給され続けることになり、他に収入が得られるようになると、先述の所得要件を満たさず支給されなくなる可能性もあります。また、真理子さん自身は年金収入のみであっても、働いて市町村民税が課税されている息子や娘と同一世帯になるなどして非課税世帯でなくなると、先述の②の要件は満たさなくなり、給付金は不該当になります。
もし、一度不支給になっても、その後再度要件を満たせば再び支給されるようになりますが、その場合はまた請求が必要となります。
物価上昇が続く昨今、年金受給をする人は年金だけで足りるか不安になることもあり、年金生活者支援給付金が支給されることで経済的に助かることもあるでしょう。給付金の対象となるのにその請求が遅れると、支給されない給付金が発生することもあります。必要な請求は忘れずに早めに行う必要があるでしょう。
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