うつ病になり会社を退職。再就職のめども立たない
医師からは「ストレスで体調を崩したようですね。抑うつ傾向も見られるので、しばらく仕事を休んだ方がよいでしょう」とアドバイスを受けました。
医師の指示に従い、洋介さんは仕事を休むことに。休職中に有給休暇をすべて消化した後は、傷病手当金をもらうことにしました。なお、傷病手当金とは、病気やけがのために会社を休み、十分な報酬が受けられない場合に、所定の手続きをすることによって健康保険から支給されるお金のことをいいます。
洋介さんはできるだけ早く職場復帰を目指そうとしましたが、会社に行くことを考えるだけで強い不安に襲われる、食欲がなくなる、動悸が起こり夜もよく眠れなくなるといった状態になってしまいました。
あまりのつらさから、洋介さんは医師や妻と相談した結果、会社を退職することにしました。
その後、洋介さんは再就職をすることはなく、現在の主な収入は傷病手当金のみ。
妻は、洋介さんが休職する前まで週5日のパートで働いていましたが、現在は夫の看病と子育てのため短時間勤務にならざるを得なくなってしまいました。
傷病手当金のおかげで家計収支は今のところやや赤字程度で済んでいますが、傷病手当金は1年6カ月分が支給されるとそこで終了してしまいます。
「早く正社員として再就職しなければ」
洋介さんはそう思い、体調が比較的よい時にネットで情報収集をすることもあるようです。しかし募集要項を見るたびに「自分はできる自信がない。一体どうすればいいんだ……」と不安を口にしています。
再就職ができないまま傷病手当金が終了してしまうと、家計は一気に赤字状態に陥ってしまいます。
主治医からは「正社員ではなく障害者雇用も検討してみてはどうか?」といったアドバイスももらっています。
しかし、障害者雇用だと正社員に比べ収入はかなり減ってしまいます。給料は多くても月額10万円~12万円程度。
「障害者雇用では全然収入が足りない。正社員じゃないと家族を支えることができない」
洋介さんは妻にそう訴え、障害者雇用に二の足を踏んでいるそうです。
「これからの収入の見通しが立たず、不安しかありません。一体どうすればよいのでしょうか」
状況を話し終えた妻は筆者にそう言いました。
●収入面の不安を抱えることになった夫婦。その後、生活を再建できたのでしょうか? 後編【「食事量は成人男性の半分以下」うつ病で退職した夫の再就職が難航…家計の危機を救った「新たな収入の柱」】で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。