<前編のあらすじ>

杉浦隆さん(仮名、40歳)は現在無職で20代の頃からひきこもり状態にある男性です。年金暮らしの父親(70歳)と母親(68歳)と共に暮らしています。

隆さんがひきこもるようになったのは、就職活動での挫折、アルバイトが続かないなど、労働への自信を失ってしまったことがきっかけでした。ある時、母親の勧めで病院に行くと発達障害があることが発覚。その後は障害年金を受給しながら静かに暮らしていました。

ところが、父親のリタイアを機に家族の雰囲気は一気に険悪になります。仕事を辞めて家にいる時間が増えたことから、ひきこもり状態にある隆さんに苦言を呈するようになったのです。父子の関係は日に日に悪化していきますが、別居しようにも両親には6000万円の負担がのしかかります。

●前編:【ひきこもり歴20年】働かない40代息子に怒り心頭…年金生活の高齢両親が直面する「老後破綻の危機」

隆さんの口から語られた「意外すぎる本音」とは?

父親の発言から、隆さんが仕事をしていないことに腹を立てていることは伝わってきました。その一方で、筆者の頭の中には「隆さんが仕事を再開するのは難しいのではないか」という思いも浮かんでいました。

さて、どうしたものか。筆者が考えあぐねていると、隆さんがおずおずと口を開きました。

「僕としても、働きたい気持ちはあるんです……」

この発言に筆者と母親はびっくりしてしまいました。長年ひきこもっているお子さんは、社会に出ることに抵抗を感じているケースが多いからです。

さらに隆さんは続けました。

「でも、長い間仕事をしていなかったので、急に働くとなると自信がありません。また、働くための知識やスキルもありません。今までアルバイトをしたことはありますが、いずれも長続きしませんでした。こんな僕でも働ける職場なんてあるのでしょうか?」