夫が240月以上で改定された時に妻の年金も増える
このように、宏行さんの老齢厚生年金については①~⑥の流れで改定されますが、①では240月未満(230月)で計算されるのに対し、②では240月以上(242月)になって計算されるようになっています。この②で宏行さんの老齢厚生年金が240月以上で再計算され、智子さんが宏行さんに生計を維持されていると、智子さんの老齢基礎年金には振替加算が加算されるようになります。つまり、宏行さんが厚生年金加入を継続した結果、智子さんの年金まで増えることになります。②の頃からですので、2026年10月分からその振替加算の対象となります。智子さんの場合、年額約2万8000円の加算がされ、加算開始後は合計で年間83万円程度の年金で生涯受給することもできます。
智子さんは「知らなかった。そんな加算がつくなんて。ちょっとでも年金が増えるんなら助かるなぁ」と感じます。年金事務所の職員から「智子さんには加算対象となる頃に振替加算の手続きがありますので、覚えておいてください」と言われ、智子さんは了承しました。宏行さんもこれを聞いて「妻の年金も増えるとはとてもいい情報を得た。そのためにはまずは自分が頑張って勤務し続けないとな」と意気込みます。
配偶者がいることによって加算される年金もあり、自分でも気が付かないようなタイミングで加算が始まることもあります。受けられそうな年金とその条件や金額をあらかじめ確認し、必要な手続きは忘れずに行うことが大切です。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。