夫婦が離婚した場合、婚姻中の厚生年金加入記録を分割する制度があります。会社員の夫の扶養に入っていた妻はこの年金分割を受けることができ、その分将来の年金額も多く計算されます。しかし、年金分割にはルールがありますので、将来の年金のことは早めに確認しておくことが大切です。

熟年離婚のあと、年金分割を受けて再婚した女性

61歳になる美穂さん(仮名、以下同)は11年前に当時の夫の健一さんと離婚しました。結婚期間は25年以上。結婚期間中、健一さんは会社員、美穂さんは専業主婦やパート勤務の被扶養者だったため、離婚後、美穂さんは離婚による年金分割(合意分割・3号分割)も受けました。その後、しばらくは実家の両親と暮らしながらパート勤務を続け、数年後、6歳下の会社員・高志さんと再婚しました。再婚後、会社員である高志さんの扶養に入りながら引き続きパートで働いています。

扶養に入っていた期間も長いため、美穂さんは自身で厚生年金に加入した月はわずか10カ月でした。「前の夫と離婚するまでずっと扶養に入ってて、再婚してもやっぱり扶養の範囲内で働いているほうが向いているかな」「扶養から外れると社会保険料とかもかかるし」「年金をもらうまではパートで稼いで、年金が受け取れるようになったら前の夫から分割を受けた年金をもらおう」「これが一番良いかもね」と思っています。

美穂さんは11年前、年金事務所で年金分割の手続きをした時、年金の支給開始は65歳からだと言われました。そして、健一さんから分割を受けたことによって、年間約50万円多く受け取れそうなことも分かりました。当時は50歳だったため、「まだまだ年金は先のことかな」と思っていましたが、だんだんと年金のことが現実的になってきました。