妹は自分の夢をかなえたのかと思ったら……

自分で言うのもなんですが、私は陽キャで外見も派手、新しいことや楽しいことが大好きで、半面飽きっぽいのがタマにキズです。

外見は母親似で子供の頃からかわいいとちやほやされてきました。小学校から都内のお嬢様学校に通い、系列の大学を卒業した後は海外の大学でアートの修士号を取って、今はそれなりに名前の通ったギャラリーに勤務しています。

一方、父親似の妹は性格的にも私と真逆です。陰キャで目立つことや人の集まるところに出るのが苦手。でも、根はマジメで、目標に向かって地味に努力するタイプです。

妹は高校までは公立で、短大を出て幼稚園の先生になりました。子供が好きだと言っていたので、自分の夢をかなえて充実した毎日を送っているものとばかり思っていました。

「思っていました」というのは、正直、妹と日常的にほとんど交流がなかったからです。私は3年前に勤務先で出会った美容外科医の雄吾と結婚しました。以降は雄吾や自分の友人たちとの交流が生活の中心となり、妹のことなど全く眼中にありませんでした。雄吾の人脈には社会的な地位が高い人が多く、勤務先のギャラリーの売り上げに直結するため、やむを得ない面もありました。

後で調べたのですが、特別受益とは、相続人が複数いる場合にそのうち一部の相続人だけが故人から生前贈与などで受け取っていた利益を指すようです。自分の人生を振り返ると、確かに妹よりはちょっと多めに親の援助を受けていたかもしれません。

でも、妹だってその気になれば親のお金で自分の好きなことができたはずなのに……。

そんな私の思いと裏腹に妹は、打ち合わせの席で私の特別受益について想定金額まで記載したリストを持ち出し、私たちに再考を迫ったのです。

●唖然とする理奈さんに突き付けられる、合計1億円近い金額が記載された想定金額リスト。言いがかりのような要求に納得のいかない理奈さんに母が告げるのは、妹の香奈さんが一方的に募らせていた、ある思いでした。後編【「姉はかっこよくて性格もいい旦那をゲットしたのに」相続で噴出…地味な妹が募らせた姉へのコンプレックス】で詳しくまとめます。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。