<前編のあらすじ>

後藤理奈さん(35歳・仮名)は昨年11月に愛する父を亡くしました。その遺産相続の話し合いの席で、予期せぬ事態が襲います。

普段は控えめな妹の香奈さんが「姉と遺産を二等分するのは納得ができない」と異を唱えたのです。香奈さんは私立一貫校や海外の大学院で学んだ理奈さんの教育費を引き合いに出し、「姉の特別受益の分、自分には多くの遺産を受け取る権利があるはず」と主張します。

お父様は一族が経営する会社の社長でもあり、一家はこれまでも恵まれた生活を送ってきました。そんな中飛び出した今さら感のある主張に、唖然とする理奈さん。結果的に特別受益は認められませんでしたが、今度は追い打ちをかけるように二人のお母様から、香奈さんが一方的に募らせていたコンプレックスについて聞かされ戸惑います。

●前編:【「姉と二等分は納得できない」真面目で地味な妹が父の相続で豹変し起こった”爆弾級”のトラブル】

姉との遺産の折半には賛同しかねる

母方の祖父が高度成長期に立ち上げた会社を受け継いだ2代目社長の父が、昨年11月に出張先で急死しました。残された私たち家族は悲しむ間もなく、父の葬儀の準備や会社の引き継ぎなどに追われてきました。

それがようやく一段落した春先、父が残した財産の相続の話し合いが始まったその席で、普段は地味で控え目な妹から、とんでもない爆弾が投下されました。

担当の税理士さんが提示したのは、父名義の財産からは自宅不動産も含めて半分を母が承継し、残りの半分を私たち姉妹が二等分するというものでした。私も母もそれに異存はなく、そのまま遺産分割協議書の作成に進むと思ったタイミングで妹がいきなり異を唱えました。

母が父の遺産の半分を受け取るのはいい。しかし、残りを私と折半することには賛同しかねる。それは、私が父の生前に多額の特別受益を得ていたからだというのです。