妹の言いがかりは却下されたが
妹より私の方が親の援助をより多く受けていたのは確かで、世間一般の教育費の相場よりは高いかもしれません。でも、両親が承知の上で払ってくれたわけですから、父が亡くなった今、その分を清算しないとおかしいというのはあまりに身勝手な物言いに思えました。
しかし、戸惑う母と私を前に、税理士さんは意外なことを言い出しました。
「おっしゃる通り特別受益という概念があり、これまでの判例を見ると学費が特別受益と認められたケースもあります。ただ、このリストが全て特別受益に該当するかは精査してみないと何とも言えません。リストは一旦預からせていただけませんか?」
思わず抗議しそうになった私を、母が目で制しました。そして、遺産分割協議は仕切り直しということになったのです。
数日後、母は妹を自宅に呼び出し、二人でいろいろ話をしたようでした。
母と税理士さんの事務所に伺ったのは、それから半月ほど後のことでした。
その際に税理士さんから、特別受益は「生計の資本としての贈与(独立して生計を営む相続人への多額の贈与)であり、子供の教育費が該当するのは極めて稀なケース」だと説明されました。さらに、私の場合、住宅資金も半分は母の貯蓄から提供されていて、父からの特別受益と認定されるのはせいぜい1000万円といったところだろうとのことでした。
妹の胸糞悪い言いがかりが却下されてほっと胸をなで下ろしたところ、帰り道に立ち寄ったカフェで今度は母がとんでもないことを言い出しました。