妹「納得できません」
相続を行うにあたり、配偶者には「1億6000万円」、または「配偶者の法定相続分に相当する相続財産(我が家のケースだと2分の1)」までは相続税が課税されない税額軽減制度があります。
そこで、税理士さんは「奥様はお若いですし、会社のことなどでこれからお金が入り用なこともあるかもしれません。そこで、まずは奥様がこの制度を利用してご自宅も含めたご主人様の財産の半分を相続し、残りをお嬢様たちが二等分するという形ではいかがでしょうか?」と提案してきました。
母も私も、その提案に異存はありませんでした。
しかし、それに異を唱えたのが妹です。
「母が財産の半分を相続するのは、それでいいと思います。でも、残りの半分を姉と二等分というのは納得できません」
こんな席で急に何を言い出すんだと思いました。それは母も同じだったようで、思わず二人で顔を見合わせました。
「相続には『特別受益』というものがあるんですよね? 姉はこれまでの人生で親から私よりはるかに多くのお金を援助してもらってきました。父の相続ではその分、私の取り分が多くなければ平等とは言えないと思います」
特別受益? 何それ、という感じでした。それ以上に、普段から口数が少なく、親の言うことに従順な妹が、いきなり父の遺産分割の話し合いの席でそんなことを言い出したことが不可解でした。