あと2カ月の厚生年金加入で年金が多く受け取れる

美穂さんの友人が「63歳から年金が受け取れる」と言ったのは、その友人自らが1年以上厚生年金に加入していたからと思われます。

特老厚は報酬比例部分の年金ですので、その計算にあたって年金分割がある場合は年金分割も反映された額で受け取れます。もし、美穂さんが自分で合計1年以上掛ければ、その自らの厚生年金加入記録(12カ月以上)と健一さんとの年金分割での記録を含めて計算された特老厚が受けられるようになります。

分割を受けた分の額は年間50万円もありますので、63歳から65歳になるまでの2年間100万円分の特老厚も受けられることとなります。

美穂さんは「たった2カ月厚生年金に入るだけでこんなに受け取る額が違うのかぁ」「ずっと年金は65歳からだと思ってた……」と驚き、「今日知れてよかった」と安堵(あんど)します。また、将来やいざという時の保障が厚くなる社会保険(厚生年金保険・健康保険)加入のメリットについても知ることができました。

美穂さんのパート先では現在、社会保険加入の働き方に転換できることから、1週間の勤務時間を変えてもらい、社会保険加入することになりました。ずっと扶養に入っていた美穂さんの突然の社会保険加入希望でパート先の人からも驚かれましたが、このまま63歳の前には1年以上の厚生年金加入期間を満たせるようになりそうです。

元配偶者の年金記録より分割を受けられるようになると将来の年金が増えることにもなりますが、その仕組みは複雑なところもあります。年金を受けられる年齢が近づいてきたら、いつからどのように年金が支給されるか今一度確認し、その上で今後の働き方についても決めるのが良いでしょう。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。