父の最期の日々を支える献身的なケアマネジャー

古賀さんの誠実な人柄がうかがえる几帳面な字で手書きした手紙には、父の容態や日常の様子がつづられていました。一方で、私のためらいを察したのか、2通目以降は身元引受人の話は一切出てきませんでした。

古賀さんは父が少しでも過ごしやすいように介護器具を入れ、体力が衰えないようリハビリをさせるなどいろいろ心を砕いてくれているようでした。古賀さんの手紙から、父のアパートの隣人たちも、毎日顔を見にきてくれたり、父の好物を差し入れしてくれたり、父のことを気遣ってくれている様子が伝わってきました。

亡くなった母は社会福祉士でしたが、自分の仕事についてあまり話してくれなかったので、私は最初ケアマネジャーという職業こそ認識していたものの、どんな仕事をする人なのかもよく理解していませんでした。

ネットでいろいろ検索して初めて、介護される人やその家族の生活を左右する大変重要な役割を担っていて、しかも、かなりハードワークであることを知りました。

ちょうど勤務先の塾の先輩講師がきょうだいと認知症の母親の介護をしていたので、ケアマネジャーについて尋ねたところ、「忙しいのは分かるけど、血が通っていないというか、本当に杓子定規に物事を決めて伝えてくるんだよね」と愚痴が止まらない様子を見て、どうやら古賀さんは特別らしいことが分かりました。

父は、人生の最期に大当たりを引いたのだと思いました。意外に強運な人だったのかもしれません。