<前編のあらすじ>
松野歩さん(35歳・仮名)はシングルマザーとして息子さんの子育てに追われ日々忙しく過ごしています。実は松野さんは10歳の頃、父親のドメスティックバイオレンスに耐えかね、母親に連れられ大阪の実家を飛び出した過去がありました。
その後、松野さんは夢をかなえ、キャビンアテンダントに。勤務先の航空会社で副機長として働く男性と結婚、一児をもうけます。しかし、遊び惚け次第に暴力を振るうようになった男性に耐え兼ね、松野さんは離婚してしまうことに。
そんな松野さんのもとに、ある日「父のケアマネジャーの古賀」を名乗る人物から手紙が届きます。全く心あたりのない名前にいぶかりながら封を切ると、そこには生き別れたはずの父親の今が書かれていました。
●前編:【“ブラック企業勤務”で豹変した父から逃げ出し20年…娘がケアマネからの手紙で知る「驚きの現状」】
末期がんとなった父の様子を伝える手紙
私は、以前の勤務先だった航空会社で出会った副操縦士の夫と離婚し、塾講師をしながら就学前の息子を育てているシングルマザーです。そんな私に、九州の居宅介護支援事業所でケアマネジャーをしている古賀さんから手紙が届いたのは2023年の夏のことでした。
そこにつづられていたのは、10歳の時に生き別れになった実の父についてでした。父はその少し前に末期の肺がんと診断され、本人が最期まで自宅で過ごすことを希望したため、古賀さんにお世話になることになったようです。この先父の自宅療養が困難になり、病院や施設に入ることになった時に身元引受人になってほしいと書かれていました。
しかし、父の度を越したドメスティックバイオレンス(DV)に耐え切れず、母と大阪から東京のDVシェルターに避難した私にとって、今も父は触れられたくない存在です。返事をするのもためらっていたうちに2通目をもらい、それからは月に1~2通のペースで手紙が届くようになりました。