<前編のあらすじ>

晴奈さん(64歳)は既に仕事をリタイアした夫の秀昭さん(68歳)と2人で暮らしており、70歳まで現在勤めている会社で働くことを検討しています。年金に関心を持つようになったのは62歳の時のこと。特別支給の老齢厚生年金の請求ができるようになり、年金事務所に行ったことがきっかけでした。

当時、窓口の職員からは「年金の合計としては62歳から65歳までは年間30万円、65歳からは年間110万円」を受け取れると案内されていました。ところが、帰宅後にねんきん定期便を確認したところ、年金事務所でもらった見込額より少ないことに気付いて困惑します。

一体どちらの見込額が正しかったのでしょうか?

●前編:【あれ、どうして…? 60代女性がねんきん定期便を見て困惑、記されていた年金額に不安を抱いたワケ】

「ねんきん定期便」は届いた月の4カ月前までの記録

当時62歳だった晴奈さんは、将来受けられる年金額について、年金の請求をした際に年金事務所から渡された見込額と「ねんきん定期便」の見込額の差が気になりました。「ねんきん定期便」の方が少ない金額で表示されていたのです。

2つの見込額のうち、どちらが正しいのかを確かめるべく再び行った年金事務所では別の職員が担当しました。「これって一体どちらが正しいのですか?」と晴奈さんは確認します。するとその職員はまず「ねんきん定期便」の見方から説明し始めました。

「60歳以上の方ですので、その定期便はお誕生日の月の4カ月前までの加入記録が含まれています。晴奈さんは厚生年金加入中ですが、62歳の4カ月前の厚生年金被保険者期間は106月です」と説明がされます。

続けて「しかし、62歳を迎えてすぐ年金事務所で試算した際の月数は62歳の前月までの期間が含まれていて、こちらは合計109月になります」との説明でした。

計算されている月数に差があることが明らかになり、その結果、年金事務所で試算した62歳からの特老厚の額のほうがわずかに多くなっています。晴奈さんは両者の月数表示に違いがあったことに気が付き、「ということは……前回ここで提示された月数や額のほうが最新のものなのね」と悟ります。

「ねんきん定期便」は誕生月に届くように作られています。そのため、4カ月前までの加入記録しか反映されておらず、月数も年金額もその分少なくなるということになります。