遺産は半々に。兄弟にはわだかまりが残ったまま…
結局、昭三さんの遺産は高田さんと誠二さんで半分ずつ分け合うことになったようだ。遺言書はまったく意味をなさず、兄弟の間で多少なりともわだかまりを残すだけの結果になってしまった。
高田さんとしては父親を助けるつもりで書いた遺言書だったが、内容が自分に有利なものであったために弟の誠二さんから疑いの目を持たれる結果となってしまったのだ。高田さんは遺言書について父親である昭三さんの意向をくみ、自身の主観は一切入れていない状態で作成したが、そういった事実が本当に存在したのか離れて住む誠二さんからは知る由もない。
今もなお、高田さんと誠二さんは疎遠の状態である。高田さんからは毎年1回、年賀状が届き近況を聞くが、いまだに誠二さんとはわだかまりが残っているようだ。
遺言書は簡単に作れる。代理作成をうたう事務所も多くある。だが、遺言書は本人の手書きが基本で子による代筆はできないものと考えるべきだ。もし、今後遺言書の作成を考える機会があれば思い出してほしい。親を思って代筆したことで絆に亀裂の入った兄弟がいることを。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※登場人物はすべて仮名です。