弱者男性が普通の幸せを求めるようになったキッカケ

市田は「お金の稼ぎ手は自分一人じゃない。お金がお金を稼いでくれる」ということに気が付いてしまったのだ。コツコツと投資を続けることで、5年と半年で資金が2倍以上に増えた。毎月1万円ではなく、2万円を投資していたら、今頃は300万円を超える資金が手に入っている。300万円もあればマンション購入の頭金にもなる。これまで、持ち家を持つなんていうことは考えられもしなかったが、それが実現可能なこととして感じられるようになった。

市田が感じている胸のザワめきは、自分が弱者男性だと思い、何も持っていないと人生をあきらめていたが、「自分はもはや弱者じゃないのではないか」と思ったところにあった。日陰にいたはずの自分に、突然スポットライトがあたったような気持ちの高ぶりと戸惑いを感じたのだ。そのザワめきは、市田には心地よく感じられた。「なんだ…」と市田は思った。「なんだ、オレにだってできるじゃん。普通なんだ。普通に幸せを求めてもいいんだ」という思いが湧き上がってきて、胸の内が温かく感じられたのだった。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。