奥さんの弁護士から突きつけられた厳しい現実

彼が亡くなって2カ月ほどして、奥さんの依頼を受けたという弁護士事務所から連絡が入り、彼の財産について話があると言われました。

数日後、わが家にやってきた若い弁護士から聞かされたのは、次のような話でした。

まず、彼の場合は遺言書がないので、戸籍上の妻子が法定相続分通りに遺産を折半する形になること。彼が私や息子のためにしていた預貯金があれば、それも実質的な所有者である彼の相続財産に含まれるので速やかに通帳を渡してほしいとも言われました。

また、私と彼は「重婚的内縁関係」となるため、私が彼の遺族年金を受け取るには彼の婚姻関係が破綻していることを証明する必要があるという指摘も受けました。現実問題、それを証明するのはかなり難しいだろうとのことでした。

奥さんは私たち母子にこうした厳しい現実を突きつけることで、自分たちの立場を思い知らせたいんだろうなと感じました。あまりに露骨な“正妻マウント”ですが、それが奥さんなりの彼や私への意趣返しなのでしょう。

でも、私もマウントを取られっぱなしのまま引き下がるつもりはありませんでした。ですから、弁護士の方にこう食い下がったのです。

「相続云々の話をする前に、奥さんに会わせてください。いや、奥さんにこう伝えてください。『戸籍に記載がないだけで私や息子も彼の身内です。私たちは会って話をする必要があるんじゃないですか』って」

私の怒りが届いたのか、弁護士事務所を通して奥さんから会ってもいいという返事がありました。そして2週間後、私たちは初めて顔を合わせることになりました。

●大胆にも男性の奥さんとの面会を求めた長居さん。初めて対面した相手は、想像していた人物像とは全く違うタイプでした。後編【心を殺して15年…夫の浮気に長年悩まされた“サレ妻” がついにやり遂げた「壮大な復讐計画」】で詳説します

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。