坂口結菜さん(仮名)は子供の頃から“しっかり者”と評判で、ご両親からは「結菜は石橋をたたいて壊す」と言われるほどだったそうです。しかし、その坂口さんが今年、投資詐欺にあってしまいます。被害額は500万円。ご両親から借金までしていたそうで、悔やんでも悔やみきれないと言います。
坂口さんをだましたのは、昨年秋の投資セミナーで出会った自称保険代理店勤務の女。メディアで報道されている有名人の名前をかたった詐欺や、SNSを使った投資詐欺なら警戒したけれど、女のあまりに自然なアプローチにほとんど疑いを抱かなかったとか。
「最近、Z世代やY世代が詐欺にあう件数が増えていると聞きました。私のような思いをする人が1人でも増えることがないよう、私の体験を参考に気を付けてほしい」と訴える坂口さんが、詐欺にあった経緯を話してくれました。
〈坂口結菜さんプロフィール〉
東京都在住
30歳
女性
IT企業事務
シングルでひとり暮らし
金融資産▲200万円(親からの借金)
今でも自分が詐欺にあったということが信じられません。詐欺の被害者と言えば、お金持ちのお年寄りとかのイメージがありますよね? 私なんて普通の会社員だし、貯金がたくさんあったわけでもないし……。
それに、自分で言うのもなんですが、子供の頃から「結菜ちゃんはしっかり者だね」と言われ続け、小学校から高校までずっとクラス委員でした。堅実過ぎて両親からは「結菜は石橋をたたいて壊すタイプ」と笑われたくらいです。
そんな私がまんまと詐欺グループの罠(わな)にはまったのは、今思えば大きな要因が2つあったように思います。1つは投資ブームに流されたこと、そしてもう1つは過信というか、おだてられて自分を見失ってしまったことです。