<前編のあらすじ>

長居恵さん(仮名)は41歳のシングルマザーで小学5年生の息子がいます。仕事先で知り合った18歳年上の男性と7年間内縁関係にありましたが、4カ月ほど前に男性が急死しました。

男性の死後、仕方なく戸籍上の奥さんに連絡を入れると、その後は葬儀、埋葬、相続でも完全に“蚊帳の外”となってしまいました。

男性が長居さんや息子のために貯めておいた預貯金の通帳まで持っていかれ、やり場のない怒りを感じた長居さんはついに本妻に面会を求めたのでした。

●前編:【「話をする必要があるんじゃないですか」事実婚の夫を亡くした40代女性が本妻との直接対決を決めたワケ】

幸せな毎日に突然起こった悲劇

私は30歳の時に生後間もない息子を連れて離婚し、以降、飲食店のパートをしながら幼い息子を育ててきました。息子は体が弱く頻繁に熱を出したりしたためフルタイムで働くのは難しく、家計はいつもぎりぎりでした。

しかし、パート先で本社のスーパーバイザーをしていた18歳年上の男性と出会い、7年ほど前から同居するようになって、生活は安定しました。彼の支援で息子は水泳やサッカーの教室に通い出し、見違えるほど元気になりました。

コロナ明けの昨年は、息子がずっと行きたがっていた旭山動物園やアドベンチャーワールドにも連れていってくれました。実の父親の記憶がない息子にとって、彼は「頼りがいのあるかっこいいお父さん」だったようです。

彼には家族がいて、都内の彼名義のマンションで暮らしています。彼は離婚を要求しましたが奥さんがうんと言わず、やむなくまとまったお金を渡した上で、毎月、生活費として30万円を払う約束をしたのだと聞きました。

とはいえ、彼も来春には定年を迎えます。そこで、奥さんとの結婚生活に区切りをつけ、生活費についても減額してもらうつもりだと話していたのです。

年が離れていて持病もある彼との未来に不安がないわけではありませんでしたが、当面はすべてがいい方に向かっているように思えました。

しかし、好事魔多しとはよく言ったもので、そんな矢先、突然体調不良を訴えた彼が、救急搬送された病院で亡くなったのです。急性心疾患でした。

内縁関係ですから仕方がないのですが、彼の葬儀、埋葬、相続といった死後の手続きにおいて、私や息子は完全に蚊帳の外でした。