65歳からは65歳開始の老齢基礎年金と老齢厚生年金のみ
遺族厚生年金の受給権がある場合、65歳からは年金の受給のルールが変わります。65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金、遺族厚生年金をあわせて受給できるルールとなっています。ただし、遺族厚生年金については老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分での支給となります。
しかし、亜矢さんは会社員の期間が短かったことから遺族厚生年金も少なく、一方、晃彦さんは会社員として厚生年金の加入がかなり長いので老齢厚生年金も高い額となります。そのため、晃彦さんには、差額支給となる遺族厚生年金はなく、結局、老齢基礎年金と老齢厚生年金のみとなります。そして、これを65歳開始で受給することとなります。
実は「ねんきん定期便」にも遺族年金が受けられると老齢年金の繰下げができないことも記載されていました。しかし、晃彦さんは遺族厚生年金の受給権があるとは知らず、その記載も気に留めていなかったのです。
「自分が遺族厚生年金を受けられるなんて知らなかった。けど繰下げはできないのか……」と複雑な気持ちになりました。「繰下げができない分、長生きへの備えは貯蓄でカバーするか」と引き続き会社に勤務するにあたって、給与収入も見ながら考えることにしたのでした。
繰下げ受給については「ねんきん定期便」などを通じて知られるようになりましたが、このように繰下げできない人がいるのも事実です。繰下げによる増額率も大事ですが、自身が「繰下げできない人」に該当しないかどうかをまず確認しておきましょう。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。