荒木兄弟の近況は……

荒木兄弟はすれ違いのあった当初こそ熱くなったものの、すぐにお互い冷静になったようで、現在では優さんが借りた100万円は全額の返済がなされている。

ただ、兄弟の絆は元通りにとはいっていない。今もぎくしゃくした関係が続いている。以前は時折あった私も含めた3人で会うということもなくなった。兄弟の交流も全くないようで、連絡を取り合ったり遊びに行ったりすることもないと聞いている。実家に帰省するタイミングもお互いにずらすほどだ。

私が個別に連絡を取り、双方から話を聞いて和解をさせようと試みるも「もう今更だ。やめてくれないか」と両者に拒否されてしまう。お互いに関係を以前のような近しいものとする気がないようだ。

似た者同士で本当に仲の良かった兄弟が傷つけあってしまったからこそ、その傷が癒えることのない、修復不可能なものにまで発展してしまったのだろう。

兄弟間でもお金の貸し借りに契約書は必須

荒木兄弟の例から学ぶこととしては、やはり兄弟間でも契約書の作成は必須であろうということだ。どれだけ長年時間を共にして育ち、尊敬しあっていた兄弟でも常に言葉の解釈が一致するとは限らない。完璧に意思疎通ができるわけではないと肝に銘じるべきである。

優さんが健斗さんの言葉を誤って解釈せず、基本的に必ず毎月返済していくものという意識でいられたらこんなことにはならなかった。健斗さんも、返済は毎月必ずしてほしいがどうしてもという時はきちんと相談してほしいと明確に伝えていれば良かったのだ。

だが、口頭であったがゆえに兄弟は言葉足らずの口約束でお金の貸し借りをすることになってしまった。もし、この100万円の貸し借りについて契約書を作成していればこんなすれ違いはなかったはずだ。

なぜなら契約書には毎月の返済額や期日をはじめとした返済条件を記載するのが一般的だからだ。そこに「都度協議によりお互いの合意の下で返済の期日や額等の条件全般について変更することができる」と言ったような一文でもあれば、今回のような争いは起こらず、兄弟で話し合いをして臨機応変な対応ができていたはずだ。

もし、荒木兄弟が契約書をきちんと作っていれば、今も変わらずずっと仲のいい兄弟でいられていただろう。1万円や2万円といったように、一杯おごるような感覚で渡せる額ならば別かもしれない。だが、10万円、50万円、100万円と額が大きくなればなるほど仲のいい兄弟同士であっても問題が起こりやすくなる。

たとえ兄弟間であっても、お金の貸し借りをする場合はきちんと契約書を作成するべきである。むしろ「伝わるだろう、自分と同じ感覚だろう。分かってくれるだろう」と思うくらい、仲のいい家族だからこそ、しっかりと契約書を作成すべきなのだ。

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