<前編のあらすじ>
当時20代の荒木兄弟。兄の優さんは会社の業績不振により収入が減ってしまい、やむを得ず弟の健斗さんへ相談する。健斗さんは落ち込む兄の姿を見て、「契約書なんていらない」と100万円を貸すことにした。しかし、この健斗さんの善意でした選択が後に大きなトラブルの原因となってしまう。
●前編:【「無理しないでいいから」収入減の兄を案じて100万円を貸した弟が犯した「最大の過ち」】
一向にお金が返ってこず、しびれを切らす弟
その後、お金を貸してから3年程が経過した。だが、お金は一向に返ってこない。健斗さんはその間もモヤモヤしていたようで、とうとうしびれを切らして優さんに返済を催促した。
「あの時貸した100万円いつ返してくれる?」
その健斗さんの発言に対してムッとしたのか優さんはこう返す。
「余裕がある時でいいって言ったよな?」
たしかに、健斗さんからは余裕がある時でいいといった旨の発言もあった。ただ、健斗さんとしては「毎月3万の返済を前提に、無理な月があれば相談のうえで減額や返済について休止を挟むことも考えていきたい」といった優さんを気遣っての発言だった。
健斗さんもカッとなり怒りをあらわにする。
「何その言い方。今すぐ全額返してくれよ!」
健斗さんの怒りはまだ収まらない。
「もう3年もたってるんだぞ! いい加減にしてくれ!」
優さんもそれに対して一歩も引いたりしない。「今すぐなんて無理だ! まだ生活は落ち着いていない!」と反論した。そこからはもう泥沼で兄弟の醜い言い合いが続いたと聞いている。
そして、兄弟のすれ違いはここで決定的なものとなった。「余裕がある時でいい」という言葉を都合の良いように解釈し、子どもが自立をするまでは返済をする気のなかった兄。生活が厳しいことを承知で少しずつでも定期的な返済を望んでいた弟。25年以上続いた兄弟の絆は“たった100万円”のお金で崩壊した。