きっかけは子の進学と仕事への意識の変化

「都内へのUターン」という考えが生まれた決定的なきっかけは、中学2年生になった上の息子の進学と、私自身の仕事へのモチベーションの問題です。

上の息子はわが子ながら成績優秀で、データサイエンティスト志望です。地元の公立高校は大半が就職組で、中学の進路指導の先生からは、上の子が目指す都内の大学への進学は相当自助努力が必要と言われました。それもあって都内の私立高校に通いたいと言い出したのです。

また、私の仕事へのモチベーションも移住した当初から変化しました。

前の会社は小さな広告代理店だったので、営業職ですがプランナーも兼ねていました。ですから今の企画の仕事でも、「こうした方がもっと魅力的なサービスになる」「こんな告知をするとクライアントに刺さる」といった提案を心掛けてきました。

最初のうちは上司も面白がって「南君はなかなかのアイデアマンだ」と褒めてくれたのですが、コロナ禍で予算が厳しいこともあり、私のちょっとした提案はなかなか通らなくなりました。そうなると、ルーティンワークをこなしながらこのまま年を取っていくのがむなしく感じられるようになったのです。

もやもやした現状を学生時代からの親友にメールで愚痴ったら、「本気で東京に戻ってくるつもりなら、仕事のことなんかも含めて一度、専門家に相談した方がいいんじゃないか」と言ってファイナンシャルプランナー(FP)を紹介されました。それが香川さんでした。

●南さんの背中を押した、FPの有用なアドバイスとは? 詳細は、後編【地方移住から2年でUターン…一家が“勇気ある撤退”を決断できた理由】で解説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。