私は大手メーカーの勤務先で営業の1部門を率いる立場にありましたが、会社で営業部門の大きな見直しが行われることになり、4月からはリスキニング(学び直し)研修を受講しています。

●会社が用意した学び直し研修室は、実質「追い出し部屋」の状態だった。
※前編【会社に「学び直し」を要求された営業職男性…迫られた“究極の選択”】からの続き

今からDXコア人材を目指すなんて無理…

会社は「50代、60代で新しいキャリアを構築していただくための学び直し」と耳障りのいいことを言いますが、実際に行われている内容は会社が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のコア人材の育成。

入社以来30年以上、現場で切った張ったの営業をしてきたわれわれに今からDXをやれと言うのは、どう考えても無理筋の話です。

来年度からは給与体系が固定報酬型から成功報酬型に切り替えられて大幅減収となることも決まっており、私も含めた営業の幹部の多くは転職や独立を考え始めていました。

しかし、いざ次を探すに当たり、自分のキャリアに対する市場ニーズなどないに等しいということを痛感しました。

最近、転職サイトをよく見るようになったのですが、その中で面接官から「あなたのキャリアの強みは何か」と聞かれた面接者が「部長です」と答えたという笑い話が掲載されていました。まさにそれこそが私なのです。ひとごととは思えず全く笑えません。

妻が自宅近くの商店街で海外雑貨のショップを兼ねた小さな喫茶店を営んでおり、いざとなったらそこでバリスタでもやらせてほしいと冗談交じりに話したら、妻から断固拒否されました。

とはいえ、金がかかった上の息子は研修医となり独立した一方、下の息子は高校生でこれからが教育費のピークです。住宅ローンもたっぷり残っていて、このまま早期リタイアというわけにはいきません。

これまで営業という業務上、人脈作りが重要と、プライベートでも仕事仲間とゴルフや旅行に出かけたり、ホームパーティーを開いてもてなしたりしてきたため、収入の割には貯蓄が少ないのもネックです。

このままDX部門に行かされて低待遇と低収入に甘んじるしかないのかと絶望的な気分になっていた時、妻が紹介してくれたのが、妻の店のお得意さんであるファイナンシャルプランナー(FP)で社会保険労務士の桐谷さんでした。