両者納得の遺言書が完成
「叔母様のせっかくのお気持ちを無駄にしたくない。けれど、全財産を相続するのは荷が重いとお考えなら、例えば、『財産の半分を遺贈する』という内容にしていただくのはどうでしょうか?」
なるほど、と思いました。
仮にこの先、叔母が入院したり施設に入居したりして頻繁に名古屋に通う必要が出てきた時には、せめて往復の交通費程度は出してもらえたらと漠然と考えていたからです。
「叔母様は茉莉花さんにご自身が亡くなった後のことを託したいとお考えです。たとえ半分でも財産を受け取りますと言えば、叔母様も安心されるのではないでしょうか。もちろん、私もできる限りサポートさせていただきます」
稲垣さんにそう言ってもらえると大変心強く思えました。叔母には大きな恩があり、最後まで叔母の納得いく形で面倒を見るのは私の務めと考えていますが、その方面の知識があるわけでもなく、自分一人でやり切る自信がなかったからです。
数日後、稲垣さんの提案を叔母もしぶしぶ受け入れ、半分を私に遺贈する形で遺言書を作成しました。稲垣さんは沖縄の佑衣さん母娘とも連絡を取ってくれたらしく、佑衣さんから叔母と私に丁寧なお礼の手紙が届きました。
それにしても、叔母や私の内に秘めた思いを見事に見抜いて両方を反映した提案をしてくる辺り、稲垣さんは相当なやり手です。もし稲垣さんがいてくれなかったら、似た者同士の叔母と私は意地を張り合い、決裂していたかもしれません。
叔母は本当にいい指南役を見つけたなとしみじみ思うと同時に、稲垣さんに心から感謝した次第です。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
