<前編のあらすじ>
都内在住の会社員・田中茉莉花さん(仮名・55歳)は、名古屋で一人暮らしをする80歳の叔母から「私の財産は全部、あなたに譲るから」と何度も言われてきました。
若い頃に両親を亡くした田中さんにとって叔母は親代わりの存在です。しかし叔母の亡くなった一人息子には、実家に戻った奥さんと娘がおり、財産はむしろ2人に役立ててもらうべきではないか――。そんな思いから、面と向かって意見するのは気が引けていました。昨夏、叔母に呼び出され名古屋を訪れると、案の定、遺言書の話を持ち出されたのでした。
●前編:「大事な話があるから来てくれない?」呼び出された姪が驚愕…資産1億超の叔母が明かした“遺言の中身”
共働きで老後資金は準備済み…叔母の遺産を当てにしなかった姪
名古屋在住の80歳の叔母は、10年ほど前に一人息子の直樹を失い、直樹の奥さんの佑衣さんが幼い娘を連れて家を出た後はずっと単身で暮らしています。
両親を早くに亡くした私にとって叔母は親代わりであり、年齢を重ねた後は一緒にコンサートや旅行に出かけたりしてきました。ですから、ここ数年、叔母が入院したり、介護保険の手続きが必要になったりした時は、私が仕事を休んで名古屋に行き、サポートしていました。
叔母は度々私に「私の財産は全部、茉莉花に譲るから」と言っていましたが、私自身は聞き流してきました。我が家は共働きで子供も独立し、夫婦で老後を過ごす程度の蓄えは既に準備しています。お金は多いに越したことはないけれど、叔母の財布を当てにするのは違うという思いもありました。
その叔母から急に「大事な話があるから名古屋に来てくれない?」と呼び出され、叔母の家を訪れると、そこには叔母と司法書士の稲垣さんが待っていて、案の定、叔母の相続の話になりました。
稲垣さんから叔母の現時点での相続財産や、遺言で私にその全部を包括遺贈したいという叔母の考えを聞かされ、正直、戸惑いが先に立ちました。叔母の法定相続人である直樹の娘のことが頭にあったからです。
