肝心の家の方が着工しない
「新居のレイアウトはこんなふうにしよう」
「住宅ローン控除を受けるには年内に引っ越す必要があるから、家の片付けも始めておかないと」
気忙しい日々が過ぎていく一方で、肝心の家の方がなかなか着工しません。担当者からは、我が家を担当する職人さんの前の仕事が長引いているため、こちらに手を着けられないという説明を受けました。
「建築業界も人手不足なんだね」
最初のうちは、歩とそんな軽口を交わす余裕がありました。しかし、1カ月、2カ月と経ち、雑草が生い茂る建設予定地を見るうちに不安が募ってきました。
青ざめた担当者が告げた会社倒産の衝撃
施工会社の倒産を告げられたのは、そんなタイミングでした。
ドラマのセリフではありませんが、「嘘だろ」と思いました。慌てて担当者の電話を鳴らしましたが一向に出る気配がありません。
1週間ほどして、当の担当者が真っ青な顔をして我が家にやってきました。
「本当に申し訳ございません! まさかこんなことになるとは思わず……。私自身、会社が危ないなんて考えてみたこともなかったんです」
突然の倒産への驚きや怒り、今後への不安など心中には複雑な感情が渦巻いていましたが、ひたすら頭を下げる担当者を前に何も言うことができませんでした。悪いのは経営陣であって、この人だって突然職を失って大変だろうという憐憫の情もありました。
それに、その時はまだ、「建築費は全額ではなくても返金されるだろう」といった楽観的な考え方をしていたのです。
●しかし、これは悪夢の始まりに過ぎませんでした。破産管財人による債権者説明会で明かされる絶望的な現実、“幻のマイホーム”を諦めきれない妻との対立、そして中西さんが最終的に選んだ苦渋の決断とは——。後編【「ふざけるな、金返せ」説明会で明かされた施工業者の“自転車操業”…住宅ローン2500万円を抱えた34歳会社員の苦渋の決断】で詳細をお伝えします。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
