「一番安い料金」につられた業者選び
歩がネットで探した業者数社から見積もりを取ったところ、一番安い料金を提示してきたのが、その会社でした。
かなり割安だったので最初は不安もなかったわけではありません。上司と挨拶にやって来た担当者は20代の若い男性でしたが、とても人当たりが良く、設計や建材、住宅税制の資料を山ほど用意して持ってきてくれるなど仕事熱心でもあったので、「これなら任せても大丈夫だろう」と思ったのです。
私はともかく歩は新居への思い入れが強く、特に自分がメインで使うキッチンについては、ああしたい、こうしたいとプランをいろいろ持っていました。結果として若い担当者は何度も我が家に足を運ぶことになりましたが、「キッチンには自然素材をなるべく多く使いたい」、「すっきりして開放感のあるフルフラットキッチンにしたい」といった歩の要望に1つ1つ丁寧に向き合ってくれました。
親や勤務先の先輩が「家は建てるまでが一番楽しい」と言っていましたが、まさにその通りで、施工業者や設計事務所の人と話をしながら、理想の家を具現化していくのは大変やりがいのある作業でした。私たち夫婦は、恐らくは一生に一度しかできないこの経験を十二分に堪能していたのです。
おかげで建築費は見積もりをだいぶオーバーし、総額2700万円近くに上りました。結婚してからコツコツ貯めてきた住宅資金は土地代でほとんど消えてしまったので、私のNISA(少額投資非課税制度)や歩の純金積立の一部を換金して頭金に充てた上で、フルフラットならぬフルローンに近い形で住宅ローンを組むことになりました。
我が家は歩がパート事務員のため、私が単独でローンを申請しました。最近はローン審査が厳しいという話を聞いていたので「ここまで来て通らなかったらどうしよう」と不安でしたが、何とかクリアしました。
自分では意識していませんでしたが審査を待つ間は相当プレッシャーがかかっていたのでしょう。担当者から連絡を受けた時は思わず脱力してしまいました。
そうこうしてローンの手続きを終え、返済額の引き落としが始まりました。
