パート終わりに買い物をして自宅へと帰ってきた理絵は、この一週間あまり、片づけようと思いながらもまだ片づけることのできていない玄関ポーチのハロウィン飾りを見てため息を吐いた。

この家を建てたのは2年前。理絵も夫の浩司もまだ30代で、別に無理をしてまで家を建てる必要なんてという周りの声もあったけれど、理絵に後悔はなかった。とはいえ、玄関の植栽の手入れなどは思いのほか大変で、なかなか手が回っていないことも事実だ。

義母との同居生活

鍵で玄関を開き、リビングに向かうと義母の一美が声をかけてきた。

「おかえりなさい」

もともと一美とは別々に暮らしていたのだが、独り住まいだったこともあり、家を建てるときに同居をすることになった。義母との二世帯住宅ということで、周囲からもかなり驚かれたし心配もされたが、一美と理絵の関係は良好で、理絵としては特に気にするようなことでもなかった。

けれど――

ただいま、と返事をしてキッチンに向かった理絵は、テレビの前に座り、機械を片手に首回りをほぐしている一美をもう一度見て、小さくため息をついた。

(また買ったの?)

今、一美が手に持っているマッサージガンというもので、値段はだいたい1~3万円程度だ。だが、既にマッサージガンは2台目。別に壊れたわけではなく、おそらく義母の部屋のどこかに箱に入ったまま眠っている。

一美と一緒に住み始めて知ったのは、彼女が買い物好きの浪費家だったということだ。

いいや、一緒に暮らすようになってから、浪費家になってしまったというべきだろうか。女手ひとつで自分を育ててくれた母親に楽をさせてやりたいと、夫がクレジットカードを持たせたことが原因で、一美は好き放題買い物をするようになったのだ。

引き落とされているのは夫の口座とはいえ、夫婦共有の口座でもある。結婚して12年間、貯金を頑張ってきてようやく家を買ったばかりだったし、これから2人で力を合わせてローンを返していかないといけない。何より、まだ10歳になったばかりの息子の養育費だってこれからたくさんかかるのだ。だから、何でもかんでもお金を好き勝手に使われるのは、自分たちの努力を軽く扱われているような気がしていた。