親権は「9割方、母親が獲得」という現実
しかし、知り合いの弁護士数人に尋ねてみると、離婚した場合、樹の親権はかなりの確率で佳乃に渡ってしまうとのことでした。日本の法曹界は未だ「子供は母親が育てるべきである」という前近代的な考えの持ち主が支配的で、9割方、母親が親権を獲得しているのが実状です。
私が親権を得るには私の方が樹を育てていくのにふさわしい親であることを認めてもらう必要がありますが、佳乃の監護実績がないことや監護能力の欠如を証明するのもなかなか厄介なようでした。
私が気乗りのしない佳乃を説得して不妊治療を受けたのも、結婚したからには両親に初孫を抱かせてやりたいという思いがあったからで、ネグレクトというだけで両親からかわいい孫を取り上げてしまうのは抵抗もありました。
そうして逡巡しながらいたずらに日々が過ぎていく中で、私に決断を迫る決定的な出来事が起きたのです。
●その決定的な出来事とは何だったのか? そして両親の離婚を知った息子の予想外の反応とは――後編【「僕はパパと一緒だよね?」5歳息子が涙の決意…40代男性が妻に手切れ金“1000万円”を払い離婚を選んだワケ】でお伝えします。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。