義母からの小言が原因で関係が悪化
義母は専業主婦として長年家族を支えてきました。そのプライドもあるためか、はたまた大事な息子を取られてしまったという悔しさや寂しさからか。次第に詩織さんへの小言が増えていったのです。
例えば詩織さんが食器を片付けていると、背後から義母の声が飛んできました。
「そんなにガチャガチャ音を立てないで。お皿が割れちゃうでしょ。もっと丁寧に扱ってちょうだい」
「はい、すみません……気を付けます」
詩織さんは謝ることしかできませんでした。
またある時。詩織さんが夫のワイシャツのアイロンがけを終えた後、義母はハンガーにかかっているワイシャツを手に取り、ぼそりとつぶやきます。
「まだシワが残っているじゃない。雑ねえ……。これじゃあ恥ずかしくて会社に着ていけないわよ」
その後も何かにつけて義母から注意や小言を受けるようになっていった詩織さん。当初は謝っていましたが、次第に義母を無視するようになっていきました。
家の中に小さな子どもがいれば、2人の関係はここまで悪化しなかったのかもしれません。ですが、詩織さん夫婦は結婚から1年以上がたっても子宝に恵まれませんでした。詩織さんは不妊治療を受け続けてきましたが、なかなか成果は見られません。子どもができないことでも、義母は詩織さんに対して不満を募らせていました。
そんなある日のこと。いつものように義母は詩織さんに注意をしてきました。
いつもなら無視をするところですが、その日は仕事の疲労もあったためか、つい我慢ができず口ごたえをしてしまいました。
「私だって仕事も家事も毎日必死でやっています。言いがかりはやめてください」
すると売り言葉に買い言葉とでもいうように、義母から心ない発言が返ってきます。
「あら逆ギレ? そんな性格だから子どもができないんじゃないの? まったく、いつになったら孫の顔を見せてくれるのかしら。せっかく同居してお金を貯めるはずだったのに、治療にお金がかかっていたら意味がないじゃない。子どもができないって、あなたの体はどこかおかしいんじゃないの?」
耐えかねた詩織さんは大きな声で反論しました。
「何でそんなことを言うの? ふざけないでよっ!」