社長交代直前に発覚

決算期も終わり、いよいよ代表取締役を交代しようとしていた、その直前に思いもよらない問題が発覚したのです。

ある日、会社に税務署からの一通の封書が届きました。中には「過去5年分の消費税が未納」という内容の通知、そしてその未納額は3700万円にのぼりました。

驚きながら中小企業診断士に相談すると、「本来であれば決算書の負債に計上されているはずだがどこにも載っていない」と首を傾げていました。

経理を担当していた母に聞いても「よく分からない」と言うばかりで、税務署に連絡すると、昨年から何度も督促を送っていたものの反応がなかったとのこと。さらに「支払いがなければ差押えの手続きに入る」と告げられました。

利益率も低く、運転資金もギリギリ。当然、そんな巨額を支払う余裕などあるはずもありません。銀行借入もできず、残された道は倒産しかありませんでした。

●直前で稼業のラーメン屋を継ぐ夢が頓挫した円さん。巨額の消費税未納は、どうなるのでしょうか。後編【「あと一歩で人生が終わっていた」危機一髪で破産を免れた女性が見た、愛情だけじゃ守れない事業承継のリアル】で詳しく紹介します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。