雇用市場に変化の兆し? 厚労省が最新データを公表
厚生労働省は2025年4月1日、「一般職業紹介状況(令和7年2月分)」を公表しました。この統計によると、2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍となり、前月の1.26倍から0.02ポイント低下しました。新規求人倍率も2.30倍と前月比0.02ポイント減少しています。一方、正社員有効求人倍率は1.03倍と前月と同水準を維持しました。
また厚生労働省は、「2月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ1.7%減となり、有効求職者(同)は0.5%減となりました。2月の新規求人(原数値)は前年同月と比較すると5.9%減となりました。これを産業別にみると、宿泊業,飲食サービス業(17.6%減)、生活関連サービス業,娯楽業(10.5%減)、建設業(9.1%減)、製造業(6.5%減)などで減少となりました」と分析しています。
「飲食業界の求人が減っている」転職を目指す35歳シェフの苦悩
「もう転職は諦めようかな……」
東京都杉並区に住む佐藤健太さん(35歳)は、PCの求人サイトを見ながらがっくりと肩を落としていました。
佐藤さんは現在、都内の和食レストランでシェフとして働いています。年収は480万円。妻と5歳の娘との3人暮らしです。10年以上同じ店で働いてきましたが、ワークライフバランスを改善するため、勤務時間がより規則的な企業の社員食堂や、時間の融通が利きやすいレストランへの転職を考えていました。
「去年の秋頃から求人サイトをチェックし始めたんですが、その頃はまだ選択肢がたくさんあったんです。でも最近は明らかに求人数が減っていて……」と佐藤さん。
実際、厚生労働省の統計によれば、宿泊業・飲食サービス業の新規求人数は前年同月比で17.6%も減少しています。
「友人からは『今の職場にしがみついた方がいい』と言われていますが、このままでは家族との時間が取れません。でも転職市場が冷え込んでいる今、動くのはリスクが高いのかもしれません」と佐藤さんは悩みを打ち明けます。
佐藤さんの妻・美香さん(33歳)も心配しています。
「主人は毎日遅くまで働いて、娘とほとんど会えていません。娘から『パパはまだ帰ってこないの?』と聞かれると、寂しい思いをさせてしまっているんだなと申し訳なくなります。夫が転職して環境が変わればいいと思っていましたが、今の雇用情勢を考えると不安です」
「でも、正社員の有効求人倍率は1.03倍と維持されているので、諦めずに探し続けるつもりです。料理人としてのスキルを活かせる場所は必ずあるはずですから」と佐藤さんは前向きに話します。