父親の金融資産はまさかの2000万円程度
父はメガバンクに勤務していました。50代でグループ会社に出向しましたが、当時で3000万円以上の退職金を手にし、年金も企業年金と合わせると毎月30万円を超えると聞いています。少なく見積もっても1億円近い資産はあるはずで、その半分は私がもらえるものと勝手に皮算用をしていました。そうすれば、老後は割安な中古マンションを購入して、妻と2人で何とか暮らしていけるだろうと楽観的に構えていたのです。
ところが、捕らぬ狸の何とやらで、そうは問屋が卸しませんでした。
今年の正月実家に帰省した時、父がいきなり相続の話を持ち出したのです。昨年、母の三回忌を終え、自分の財産についてもはっきりさせておく必要があると考えたのかもしれません。そして、その内容は私にとって想定外のものでした。
なんと、父の金融資産は2000万円ほどしかないというのです。
相続税対策で二世帯住宅の建物は既に兄名義に変えてあり、父の相続が発生した際には兄が小規模宅地等の特例(一定の条件を満たせば、相続税の土地評価を80%減らせる制度)を使って土地を引き継いで、私はその代償として2000万円のうち1000万円を受け取り、残りの1000万円は葬儀や今後の“墓守費用”として兄が預かるというシナリオでした。既に遺言書も準備してあるとのことでした。
これにはうろたえました。今どき1000万円では中古マンションも買えません。“机上の老後計画”が大きく狂ってしまいます。
あまりのショックで頭の中が真っ白になり、義姉が用意してくれた豪華なおせち料理の味さえ分かりませんでした。
●大きく計画が狂ってしまった高木さんの老後計画。やがて妻との関係にも変化が表れてしまい……。気になる結末は、後編【あまりのショックで頭の中が真っ白に…「裕福な兄一家より我が家を助けて」親の遺産分割で大きく狂った老後計画】で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。