<前編のあらすじ>
高木康二さん(仮名)は住宅関係の専門商社に勤務して25年になります。営業職で全国の支店を転々とし、5年前からは大阪支社で勤務しています。
高木さんの勤務先は給料がなかなか上がらず、息子の大学進学資金にも窮していましたが、いざとなったら元メガバンカーの親から相続するお金で何とかなると考えていました。
ところが、帰省のタイミングで父親から示された遺産分割案は想定外の内容で、“机上の老後計画”が大きく狂った高木さんは、あまりのショックで頭の中が真っ白になってしまいます。
●前編:【「いざとなれば父親の遺産5000万円がある」と思っていたのに…想定外の事態に見舞われた48歳・会社員男性の悲嘆】
漠然と親から相続するお金を当てにしていた
私は東京出身で、父はメガバンカー、母は専業主婦という家庭に育ちました。年子の兄と2人兄弟です。
幼い頃から成績が良かった兄は父とは違う銀行に入行し、今は都内の二世帯住宅で親と同居しています。私の方は就職氷河期に直面して住宅関係の専門商社にようやく拾ってもらい、転勤を繰り返した挙げ句、48歳の今も大阪で賃貸暮らしです。
一人息子は兄の息子と同学年で今年高校3年生になります。親の遺伝子の影響か、甥が都内の有名私立校で東大を目指しているのに対し、息子は偏差値50の公立校でサッカー三昧。2年生の初めからエースナンバーの10番を背負っていますが、弱小チームですから大学のサッカー部から声がかかるわけではありません。
父は優秀な内孫の甥に目をかけ、塾や中高一貫の私立校の費用などを援助していたようです。息子も進学のタイミングでは手厚い祝い金をもらっているので、決してないがしろにされているというわけではないのですが、甥との待遇の“格差”は常々感じていました。
とはいえ、いざ相続となれば、私もそれなりにまとまったお金が受け取れるはずと漠然と考えていました。