円高には少し警戒

マーケット、特に為替に関しては円高が少し心配です。

 

図は過去1年間のドル円(赤)とエヌビディア(青)の動きをまとめたものです。昨年7月から8月、市場は大混乱に陥り日本株も相当下がりました。

為替市場でもドル円162円から、140円割れまでドル安円高が進みました。背景要因の一つが、7月31日の日銀利上げがサプライズだったということです。

ただ、実際にはその前から変調をきたしていました。エヌビディアではチャート分析で「ダブルトップ」と呼ばれる動きが起こっていたのです。具体的には春先からものすごく上昇していたものの、いったん上昇を抑えられ下がった。そこからもう一度上昇したたが、同じようなところでいったん上昇を阻まれた。簡単に言えば2回高値を付けたがそこを抜けられなかった。

その後エヌビディア株は一気に下がりました、この時期はその他のハイテク銘柄もかなりさえない値動きに転じました。

改めて、エヌビディア株の動きを見てみましょう。今週はDeepSeekショックで一時2割近く下がる場面もありました。この局面で相当痛手を被った投機筋も数多くいたはずです。そうした人たちが円ショートの買戻しに動いています。この動きはしばらく続くでしょう。

また氷見野日銀副総裁の「日銀はかなり金利を上げていく」というトーンの講演のタイミングと重なりました。

そういう意味では私は基本的には実質金利のマイナスが解消されることは見込みにくいので、あまり円高にはならないだろという相場観です。

ただ、目先1~2週間ぐらいは円高警戒が必要だと思っています。たとえばドル円で言えば150円を割る場面があってもおかしくないと思っています。

来週はDeepSeekにまつわる続報が出たりトランプ大統領が突然為替に関して、ドル高はけしからんと円安を容赦しない発言をしたりする可能性もある。雇用統計も年次改定の数字が出るというタイミングでもあります。しばらくは不安定な動きに警戒でしょう。

 

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