さて、来週のポイントを見ていきましょう。

出所:内田氏

米国の経済指標の発表が続きます。具体的に紹介していきます。2月3日にISM製造業景気指数、4日にJOLT指数とも言われるJOLT雇用動態調査、5日はADP雇用報告とISM非製造業景気指数の発表もあります。

重要なのは7日の雇用統計と12日の消費者物価指数、それから14日の小売売上高です。

さて、アメリカの景気は底堅く推移しているわけですが、労働市場自体は少し需給が緩みつつあります。

 

これは失業者の何倍求人数があるかをまとめたグラフです。2022年には最大で失業者の2倍の求人件数がありました。

これが1倍ほどまで低下し、少し持ち直しているのが現状です。ちなみにコロナ前はだいたい1.2倍でした。今の1.1倍前後はコロナ前よりも失業者に対する求人件数が減少している状態です。これが反転上昇するのか、あるいは1を割る方向に動くのか、今はその瀬戸際です。

また、労働市場の強さは賃金の伸びの強弱にも表れます。

 

こちらの図の青い線は前年比での平均時給の伸びを表しています。2022年年初は前年よりも5から6%伸びていました。現在は前年比4%付近まで下がってきています。ただ下げが一服しているようにも見えますね。

図の中で黒い線で表されているのはIndeed賃金トラッカーのデータをまとめたものです。Indeedは日本でも知られた企業ですが、世界的な規模でデータを集め公表しています。

その一つがIndeed賃金トラッカーです。こちらも前年比の平均時給同様、一時期9%近かったものが3%台まで落ち込んでから持ち直し、少し失速している。今はここから下がるか、持ち直すか、といった状態です。

米国は昨年9月から利下げに着手しました。要因の一つはピーク時に比べると強さがなくなった労働市場にあるでしょう。一方でインフレの再燃も懸念されます。非常に難しい状況です。