今日のテーマは参院選後のドル円相場展望です。

 

まずドル円相場を振り返ります。先週の流れを受け継ぎ、今週のドル円相場も堅調に推移しました。特に、米6月消費者物価指数が予想を上回ったことからドル買いが優勢となり、149円台まで上昇しました。その後、FRBのパウエル議長の解任が議論されているとの報道を受けてドルが反落し、一時147円を割り込む場面が見られました。ただ、トランプ大統領がこれを否定するとすぐに148円台を回復しています(2ページ)。

 

今週、一部では参議院選挙後の財政拡張を意識した悪い金利上昇と悪い円安が進行しているとの報道が見受けられました。ただ、今週の主要通貨の対ドル変化率を見るとドルが全面高となっており、今週のドル円上昇のけん引役はドル高でした。確かに円もスウェーデンクローナに次いで弱かったのですが対ドルでの下げ幅がそこまで大きかったわけではありません。加えて長期金利の上昇幅も世界的に見て突出していたわけではない為、「日本売り」との見方は現時点では必ずしも妥当ではありません(3ページ)。

 

 

 

もっとも、年初来のドル円やクロス円を指数化したグラフで振り返りますと、多くの通貨ペアが円安に推移しています。またFXトレーダーが多く参加しているとされるメキシコペソ円相場も7月に入って、上昇ペースが加速しています。金利からインフレ率を差し引いた残りである実質金利がマイナス圏にとどまっている限り、総じて円が弱い状況が続くと考えられます(4ページ)。

 

 

今週の円安の一因に投機筋の円ロングの縮小も挙げられます。7月8日時点ではピーク時に比べて円ロングのポジションが約35%減少しています。今週もこうした動きが続いたと考えられます(5ページ)。