インフレ継続シナリオが示唆する「円安・株高・金利上昇」の中期展望
最後に少し気にしておくべきテーマをご紹介します。それは政府高官から相次いだ円安に対する牽制です。17日に青木官房副長官は政府として投機的動向を含め為替市場の動向を憂慮すると踏み込んだ発言をしています。また南アフリカでのG20に参加している加藤財務大臣も為替市場での過度な変動に注意することなどを指摘したと発言しました。昨年160円台まで円安が進んだことに照らせば、150円にも達していない現状でのこうした発言はかなりタイミングとしては早いと感じられます。もしかするとアメリカとの関税交渉において円安が非関税障壁として米国側から強く是正を求められているということなのかもしれません。こうした可能性について頭の片隅に置いておく必要はあると思われます。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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