シニアの約7割が「経済的な心配がない」と回答

2025年6月に最新版が公表された「令和7年版高齢社会白書」(内閣府)によれば60歳以上の人のうち経済的な暮らし向きについて「心配がない」と回答した割合は全体で65.9%となっている。

この「心配がない」という回答は、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」(14.8%)と「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」(51.1%)を合計した数字だ。つまり60歳以上の7割近くが「生活にゆとりがある」あるいは「あまりゆとりはない」ものの、「それほど心配なく暮らしている」という状況にある。

一方で、「家計にゆとりがなく、多少心配である」は21.8%、「家計が苦しく、非常に心配である」は9.0%となっており、合わせて60歳以上の約3割が経済的な不安を抱えていることが分かる。

60歳以上の人の経済的な暮らし向き(択一回答)を表した図表
 
出所:内閣府「令和7年版高齢社会白書」
 

年齢層別で違うお金の心配度、“最も心配ない”は「85歳以上」

年齢層別に見ると、興味深い傾向が表れている。60代後半(65〜69歳)では、「心配がない」と回答した割合は66.9%(「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」12.7%、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」54.2%の合計)。

以下、「心配がない」の回答は70〜74歳が62.8%、75〜79歳が67.4%、80〜84歳では61.3%と推移する。

最も注目すべきは85歳以上の層で75.3%(「「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」17.8%、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」57.5%)と、他の年齢層と比較して最も高くなっている。

特に「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」という回答が85歳以上では17.8%と、全年齢層の中で最も高い。この世代の持ち家率の高さや年金制度の恩恵を受けている可能性、あるいは生活水準や価値観の違いを反映しているのかもしれない。